さがみはらの農風景 ~上溝の農地と夏祭り~

相模原の農風景を通じて、相模原の農業情報をお届けします。

 

これから夏本番を迎える中、旬を迎えるのはトマトやキュウリなどの瑞々しい野菜だけではありません。

あえて体を温め、発汗を促す唐辛子も代表的な夏の旬野菜です。

7月末の夏祭りで多くの人が賑わう上溝駅周辺。

新興住宅が立ち並ぶ中にひっそりとある畑に、葉唐辛子が植わっています。

 

葉唐辛子は唐辛子の中でも葉の部分を食用とする品種で、主に漬物やシソ巻きなどして食べられる野菜です。

 

【葉唐辛子の花】

「花の中にありごさん(アリ)がいるねぇ。」と上溝で農家を営む佐藤さん。

 

佐藤さんはこの葉唐辛子を長年、栽培されています。

 

「葉唐辛子は佃煮にして昔からご近所さんに配ったりしてました。葉唐辛子の佃煮は、もうそろそろ作ろうかな。

ご近所さんからは『美味しい』っていつも言ってもらっています。夏のこの時期には、まつりのお囃子の練習の時に、

大人たちがお酒のおつまみにしてよく食べてもらいました。」と佐藤さんは語ります。

 

この地域で行われる祭りと言えば、毎年7月末に開催される上溝夏祭りです(※今年度は中止)。

 

上溝夏祭りは「天王様」をお祭りし、疫病からのがれるための祭神「牛頭天王」の御霊入れが行われた神輿渡御により

厄病退散・五穀豊穣・家内安全を祈願する、江戸時代から今日まで約200年以上も続く伝統あるお祭りです。

 

 

【葉唐辛子の隣に植わっている甘長唐辛子を収穫。刻んで辛子味噌にするそう。】

 

 

農家とお祭りの関係を振り返ると、

お祭りは日本の農村社会において、農家が五穀豊穣を祈るために行われた祭事に由来しています。

 

それは上溝でも同じです。

 

今でこそ上溝の夏祭りは「かながわのまつり50選」に選ばれるほど知名度と規模のあるお祭りとなっています。

 

しかしそれは、この地域の先人たちが五穀豊穣や地域の発展を願い、そこで作られた野菜でできた食事を

家族や地域で囲みながら一緒になってこの祭事を盛り上げてきたからに違いありません。

 

「葉唐辛子も佃煮もそうだけど、やっぱり、夏祭りのときは、酒まんじゅうを作ってご近所さんに配りました。

酒まんじゅうが作れないと農家の嫁として認めてもらえなかったから、一生懸命勉強しました。」と

佐藤さんが語る言葉からも、そうした農家の方々の努力が伝わってきます。

 

【佐藤さんのキュウリのしょうゆ漬け(ページの一番下にレシピがあります)】

 

「他の農家の皆さんも上手に作りますよ。でも私が作るものは『歯ごたえがある』って褒められるんです。」と

謙遜を交えつつ、まん丸の笑顔で自分の作った物の美味しいところを誇らしげに語る佐藤さん。

 

地域で作られる野菜と食事がその地域の文化や人柄にまで深く関わることがわかります。

 

わずかに残る上溝駅周辺の農地には、夏の暑さを吹き飛ばす上溝の熱い夏祭りの原動力がありました。

 

佐藤さん語録

「めのこし(見残し、採り忘れ)があった!」

「左の花は実がならないけど右の花は実がついているから、なりばな(雌花)だね!」

 

佐藤さんが野菜に向けて語る言葉には野菜への親しみがあり、

アリを「ありごさん」、近所の方を「ご近所さん」、と「さん」付けをして話す言葉には

自然や地域の人を敬う気持ちが込められていて、聞いていてとても楽しいです。

 

佐藤さん秘伝のキュウリのしょうゆ漬け

●キュウリ…1㎏

●漬物液…ヤマサ醤油(濃い口)300㏄、砂糖150g、酢100㏄、酒50㏄、刻み唐辛子1本

 

①漬物液を中火で煮詰める。

②キュウリは5㎜程度に輪切りにする。

③キュウリを煮詰めた漬物液(温かい状態で)に浸し、1晩置く。<1日目>

④③でつけたキュウリと漬物液をザルで分ける。

⑤④の漬物液を1/2に煮詰める。

⑥⑤の漬物液とキュウリを浸し、また1晩置く。<2日目>

⑦⑥で漬けたキュウリと漬物液をザルで分ける。

⑧⑦の液をさらに1/2まで煮詰める。

⑨⑧の漬物液とキュウリを浸し、さらに1晩置く。<3日目>

⑩完成!

 

まろやかなしょう油の口当たりと唐辛子のパンチが絶妙で、おかずなしでも白飯2杯は食べられます!